徳島県南部、海部郡美波町赤松地区。
山と川に囲まれたこの静かな集落に、毎年秋、炎と祈りが交差する壮麗な祭りが訪れる「赤松神社奉納吹筒花火」。
それは約200年の歴史を持つ、火の粉を浴びながら五穀豊穣と家内安全を祈願する、
全国でも類を見ない勇壮な伝統行事だ。
吹筒花火とは何か
吹筒花火（ふきづつはなび）は、約1メートルの竹筒に火薬を詰め、上部の穴から火花を噴き出す手作り花火である。赤松神社の境内に設置された高さ約10メートルの丸太の先端にこの筒を取り付け、
点火すると滝のように火の粉が吹き上がる。
その下を、地元の青年団が「できたん、どしたん」の掛け声とともに駆け回る様子は、
まるで神々の儀式のような神秘性を帯びている。
この花火は、赤松吹筒煙火保存会の手によって、地区ごとの花火組が一本ずつ丹精込めて製作する。
火薬の配合や筒の構造は秘伝とされ、文政4年（1821年）発刊の「意匠」にもその技術が記されているが、
詳細を知るのは限られたリーダーのみ。まさに職人技と信仰が融合した伝統芸能である。
祭りの流れと見どころ
赤松神社奉納吹筒花火は、毎年10月のスポーツの日の前日の日曜日に開催される。
夕暮れが迫る頃、赤松神社の境内には地元住民や観光客が集まり、神事が厳かに執り行われる。
やがて夜の帳が下りると、吹筒花火の点火が始まる。
火の粉が空へと舞い上がると、青年団がその下を駆け抜ける。
拍子木の音が響き渡り、火の粉を浴びることで心身を清める「禊（みそぎ）」の意味も込められているという。
火を噴く神輿や回転花火なども登場し、境内は幻想的な炎の舞台となる。
この祭りには「赤松座の三番叟」「巫女の舞」「だんじり」などの演目もあり、
地域の伝統芸能が一堂に会する貴重な機会でもある。
赤松地区の人々は、この祭りを通じて地域の絆を深め、次世代へと文化を継承している。
歴史と文化的背景
赤松神社の創建年は不詳だが、1639年（寛永16年）と1660年（万治3年）の棟札が現存しており、
古くから地域の信仰の中心であったことがうかがえる。
1912年（明治45年）には旧赤松村内の23社を合祀し、現在の赤松神社となった。
吹筒花火は江戸時代から続く伝統で、1998年には旧日和佐町の無形文化財に指定され、
さらに2022年には徳島県の無形民俗文化財にも登録された。
保存会を中心に、地域住民が一丸となってその技術と精神を守り続けている。
地域とのつながり──「三つのヒカリ」
赤松地区には「三つのヒカリ」があると言われている。
ひとつは、赤松川の清流が育む絶品のコシヒカリ。ふたつめは、初夏に舞う蛍の光。
そして三つめが、この吹筒花火の炎の光だ。
自然と人の営みが織りなすこの三つの輝きは、赤松の誇りであり、訪れる人々の心を打つ。
また、祭りの開催にあたっては、赤松町民グラウンドや赤松こども園前駐車場などが開放され、
地域全体が一体となって来訪者を迎える。アクセスはJR牟岐線「日和佐駅」から車で約15分。
公共交通機関が少ないため、タクシーの利用が推奨されている。
現代に生きる伝統
現代において、地方の祭りは少子高齢化や過疎化の影響で継続が困難になることも多い。
しかし、美波町赤松地区では、若者たちが積極的に参加し、伝統を守る姿勢が強く感じられる。
火の粉を浴びながら走る青年たちの姿は、単なるパフォーマンスではなく、地域の未来への祈りそのものだ。
「できたん、どしたん」という掛け声には、火の粉の下でも恐れず進む勇気と、仲間との連帯感が込められている。
それは、地域の人々が困難を乗り越え、共に歩んできた歴史の象徴でもある。
🎆徳島・吹筒花火を満喫するならここ！おすすめホテル3選
赤松神社で開催される「奉納吹筒花火」は、徳島の秋を彩る幻想的なイベント。
夜空を焦がす炎の柱と爆音が響き渡るこの伝統行事を、心ゆくまで堪能するなら、宿泊先選びも重要です。
ここでは、花火会場周辺でアクセスが良く、快適に過ごせるおすすめホテルを3つご紹介します。
🏨1. ふれあいの宿 遊遊NASA（ゆうゆうナサ）
- 場所：徳島県海部郡海陽町
- 花火会場からの距離：車で約40分
- おすすめポイント：
- 全室オーシャンビューで太平洋を一望
- 天然温泉と新鮮な海の幸が楽しめる
- リピーター多数の人気宿
ふれあいの宿 遊遊 NASAの予約はこちらから！(agoda)
ふれあいの宿 遊遊 NASAの予約はクーポンでお得に予約！(じゃらん)
🏨2. Quvel（クベル）
- 場所：徳島県徳島市川内町
- 花火会場からの距離：車で約50分
- おすすめポイント：
- ミニマルでスタイリッシュなデザイン空間
- カフェ併設で地元食材を使った料理が楽しめる
- 静かな環境でゆったり過ごせる隠れ家的ホテル
クベル (Quvel)の予約はこちらから！(agoda)
Quvel(クベル)の予約はクーポンでお得に予約！(じゃらん)
🏨3. アオアヲナルトリゾート
- 場所：徳島県鳴門市
- 花火会場からの距離：車で約90分（少し遠めですがリゾート気分満喫）
- おすすめポイント：
- オーシャンビューの客室と温泉で癒しの時間
- 子供向けアクティビティが充実
- ファミリーに人気のバイキングとクラブサビー特典あり
11月まで大人気の鳴門金時芋掘りプランが開催しています。アオアヲ ナルト リゾートの予約はこちら！(じゃらん)
花火の余韻に浸りながら、徳島の自然と温泉、地元グルメを楽しめる宿泊先を選べば、
旅の満足度もぐっとアップします。予約は早めがおすすめですよ！
おわりに
赤松神社奉納吹筒花火は、炎と祈りが交差する美波町の魂の祭りである。
火の粉の下を駆ける若者たちの姿に、私たちは忘れかけていた「生きる力」や「つながりの尊さ」を
見出すことができる。
ぜひ秋に徳島県美波町を訪れ、火の粉に込められた祈りと情熱を体感してみてはいかがだろうか。
