島根県——その名を聞いてすぐに思い浮かぶ人は少ないかもしれません。
しかし、ここには日本の原風景とも言える静けさと、神話・戦国・鉱山といった壮大な歴史が息づいています。
今回は、松江城・出雲大社・三瓶温泉・石見銀山を巡る2日間の旅を通して、島根の“深さ”に触れてきました。
一日目:武士の誇りと神々の気配に包まれる
🏯松江城:静かな湖畔に佇む、戦国の記憶


旅の始まりは松江城。現存12天守のひとつで、国宝にも指定されているこの城は、
慶長16年(1611年)に堀尾吉晴によって築かれました。
黒塗りの天守は、宍道湖の水面に映える姿が美しく、まるで時代を超えてそこに在り続けるかのよう。
天守閣に登ると、城下町と宍道湖が一望でき、戦国の武将たちが見ていたであろう景色に思いを馳せます。
内部には甲冑や刀剣、築城技術の展示があり、特に石垣の「算木積み」や「武者走り」の構造には、
戦略と美学が融合していることを感じました。
城の周囲には堀川が巡り、遊覧船に乗れば水面から城を眺めることもできます。
水の都・松江の魅力が凝縮された空間です。
⛩出雲大社:神話が息づく“縁”の聖地


松江から車で約1時間。次に訪れたのは、言わずと知れた出雲大社。
大国主命を祀るこの神社は、縁結びの神様として全国から参拝者が訪れますが、その本質はもっと深い
——“国譲り神話”の舞台であり、日本の始まりに関わる場所なのです。
参道を歩くと、空気が変わるのを感じます。
巨大なしめ縄がかかる神楽殿、荘厳な拝殿、そして本殿を囲む八足門。
出雲大社では「二礼四拍手一礼」という独特の作法で参拝しますが、
その所作ひとつひとつに意味が込められていることを知ると、祈りの深さが増します。
境内には「因幡の白兎」伝説にちなんだ兎の像が点在し、神話と現代が交差する空間に。
神楽殿の裏手には「素鵞社(そがのやしろ)」があり、ここでいただく“砂”は浄化の力があるとされ、
持ち帰る人も多いそうです。
♨️三瓶温泉 四季の宿 さひめ野:星空と雲海に包まれる高原の癒し宿


島根県大田市、三瓶山の麓に位置する「四季の宿 さひめ野」は、標高約500mの高原に佇む温泉宿。
眼下には三瓶の山々が広がり、季節ごとに移り変わる絶景と澄んだ空気が訪れる人を包み込みます。
🌌温泉と星空の贅沢
三瓶温泉は白鳳時代から湧き続ける歴史ある湯。
泉質は弱アルカリ性の単純泉で、肌にやさしく、湯上がりはすべすべに。
露天風呂に浸かりながら見上げると、夜空には満天の星が広がり、
まるで神話の世界に迷い込んだような静けさと感動が訪れます。
朝には雲海が見られることもあり、自然のドラマが滞在を彩ります。
🏨施設・サービス
- 客室数:36室(和室・洋室・和洋室あり)
- 館内設備:露天風呂、大浴場、カラオケルーム(2室)、
読書スペース、ゲームコーナー、売店(7:00〜10:00/15:00〜20:00) - Wi-Fi:全室無料接続可能
- 駐車場:屋外70台(無料・予約不要)
- バリアフリー対応:一部あり(車椅子対応トイレ・スロープ・点字表記など)
🚗アクセス
- 住所:〒694-0222 島根県大田市三瓶町志学2078-2
- 電話番号:0854-83-3001
- 車:松江自動車道 三刀屋木次ICから約60分/中国自動車道 三次ICから約90分
- 公共交通:JR山陰本線 大田市駅から石見交通バス「三瓶温泉経由粕渕行」乗車
→「さひめ野前」バス停下車(約40分)
📍宿泊予約はこちらから!
👉ドラマチックな自然体験に出逢える高原ホテル 三瓶温泉さひめ野
二日目:銀の記憶と、持続可能な歴史の風景
⛏石見銀山:世界を動かした“静かな鉱山”


二日目は、世界遺産・石見銀山へ。16世紀から18世紀にかけて、
ここで採掘された銀はポルトガルやスペインを経由して世界へ流通し、
グローバル経済を動かしたと言われています。
まずは「龍源寺間歩」へ。手掘りの坑道を歩くと、岩肌に残るノミの跡が生々しく、
当時の労働の過酷さが伝わってきます。
照明を抑えた空間は、まるで時空を超えて銀の精霊に導かれているような感覚。
その後は、町並み保存地区を散策。
江戸時代の面影を残す武家屋敷や商家が並び、古民家を改装したカフェや雑貨店も点在。
特に「群言堂」のショップは、石見の文化を現代に昇華させた空間で、旅の記憶を持ち帰るのにぴったりです。
🌿持続可能な文化遺産としての石見銀山


石見銀山の魅力は、単なる鉱山跡ではないこと。
自然と共生しながら発展してきた歴史があり、環境保護の観点でも世界遺産に登録されています。
山の斜面には棚田が広がり、銀山川には清流が流れ、野鳥の声が響く——人と自然が調和する風景です。
ガイドツアーでは、銀の精錬方法や流通経路、鉱山技術の変遷など、専門的な知識も得られます。
今回は個人で回りましたが、次回はぜひガイド付きで訪れたいと思いました。
また、有料の展示スペースでも石見銀山の歴史などを学べるので興味のある方はぜひ訪れてみてください!
👇また、石見銀山について以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください!
🍜島根グルメの真髄:香り高き出雲そば
島根県を訪れたら、ぜひ味わってほしいのが「出雲そば」。そばの実を殻ごと挽いた“挽きぐるみ”の粉を使っているため、色が濃く、香りが非常に豊か。噛むほどにそばの風味が広がり、食べ応えも抜群です。
今回の旅では、松江城周辺と石見銀山の町並み保存地区、2つの異なる歴史の舞台で出雲そばをいただきました。
🍜松江城下で出雲そばを堪能:民芸茶房 鷦(鷦庵)


+しじみご飯+しじみ汁
松江城の散策後に立ち寄ったのが、
城下町の一角にひっそりと佇む「民芸茶房 鷦(手打ち蕎麦 鷦庵)」。
店名の「鷦(ささき)」は“みそさざい”という小鳥を意味し、
店内には民芸品や陶器が並ぶギャラリーのような空間が広がっています。
奥に進むと現れる蕎麦処では、手打ちの出雲そばを提供。
今回は名物の「割子そば」をいただきました。
三段重ねの漆器に盛られたそばは、香り高く、コシのある食感が印象的。
薬味の組み合わせで味の変化が楽しめ、見た目にも美しく、旅の記憶に残る一品でした。
店内は古民家を改装した落ち着いた雰囲気で、
松江の歴史と文化を感じながら食事ができるのも魅力です。
~🗺 店舗基本情報~
- 店名:民芸茶房 鷦(手打ち蕎麦 鷦庵)
- 住所:島根県松江市末次本町22
- アクセス:松江城から徒歩約5分/松江しんじ湖温泉駅から徒歩約13分
- 営業時間:10:00〜16:00
- 定休日:年末年始
- Googleマップ:
🍜石見銀山の玄関口で味わう郷土の味:お食事処 おおもり


石見銀山の町並み保存地区を歩いていると、ひときわ風情ある建物が目に入ります。
それが「お食事処 おおもり」。
大森代官所跡のすぐ目の前にあり、観光のスタートや休憩にぴったりの立地です。
店内は広々としており、団体客にも対応可能。
川沿いにはテラス席もあり、銀山川のせせらぎを聞きながら食事を楽しめるのも魅力のひとつです。
看板メニューは「代官そば定食」。
割子そばと釜揚げそばの両方を一度に味わえる贅沢なセットで、
天ぷらやとろろ、梅の蜜煮などが彩りを添えます。
そばはすべて店内で製麺された二八そばで、香りとコシのバランスが絶妙。
歩き疲れた体に、滋味深い味わいが染み渡ります。
~🗺 店舗基本情報~
- 店名:お食事処 おおもり
- 住所:島根県大田市大森町ハ44-1
- アクセス:大森代官所跡バス停すぐ/仁摩・石見銀山ICから車で約5分
- 営業時間:11:00〜15:00(L.O.)
- 定休日:水曜日
- 電話番号:0854-89-0106
- Googleマップ:
石見銀山の歴史に触れたあとは、地元の味でひと息つく——そんな贅沢な時間を過ごせる一軒です。出雲そばの奥深さを体感したい方には、ぜひおすすめしたいスポットです。
旅の余韻:島根は“静けさの中にある深さ”を教えてくれる
2日間の島根旅は、派手な観光地とは一線を画す“静けさの濃密旅”でした。
松江城で武士の誇りに触れ、出雲大社で神々の気配を感じ、三瓶温泉で心身を癒し、
石見銀山で世界とのつながりを知る
——それぞれが独立した物語でありながら、一本の軸で繋がっているような感覚。
島根は、語らずとも伝わる“余白”の美しさを持つ土地。旅を終えた今も、心の奥に静かに響いています。
次の旅先はまだ決めていませんが、島根の風景や空気がふとした瞬間に思い出されるたび、
また訪れたくなる気持ちが自然と湧いてくる——そんな場所でした。
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